備後家庭医のきまぐれ日記 ~ふりかえり備忘録~

備後地区家庭医のログ、ふりかえりを兼ねた日記です。きまぐれに更新しますのでのんびり見守ってくださるとうれしいです。

非がん患者の緩和ケア ~心不全~

非がん患者の緩和ケアは予後予測も難しく、患者や家族と意思決定の支援も簡単ではない。

 

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CQ心不全の終末期予後予測は可能か

CQ2症状緩和に有用な治療は何か

 

雑誌Hospitalist 緩和ケア から抜粋させていただいた。

 

厚生労働省のHPより抜粋

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stageDは、治療を最大限に行っているにも関わらず、NYHA分類Ⅲ、Ⅳの症状があるような難治性心不全

末期心不全とは
1)適切な治療を行っても
2)慢性的な心不全症状を訴え,点滴薬物療法が頻回に必要
3) 6ヵ月に1回以上の入院や低LVEF
4)終末期が近いと判断される

と定義されている。

 

★予後に影響を与える因子

・血圧

 EF<45%でNYHAⅡ、Ⅲの患者で収縮期血圧<100mmHgであれば5年の経過観察中に50%が死亡。

・心電図(QRS幅)

 QRS>120mmsecは長期予後の悪化因子

・心エコー(拡張能↓、右室機能↓と肺高血圧は予後悪化)

 

心不全の死因

収縮不全:ICDなし→突然死42%、心不全死36%

収縮能保たれている心不全:突然死26%、心不全死14%

突然の心停止時に蘇生を希望するかは希望を聞いておく必要あり

 

★ACPに関して  急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)より

ACPの実施はクラスⅠで推奨されている。

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★予後推定に有用なスコア

Seattle heart failure score 慶応義塾大学HPより日本人補正スコアが利用できる。

EFFECT risk tool

 

★症状緩和に有効な治療

・ACE-I

・β遮断薬

CPAPや酸素療法

・麻薬

抗うつ薬SSRI、三環系抗うつ薬

・強心薬 ドブタミンは死亡率を上昇させるが、心不全症状は改善しQOLをよくする。

 

以下は「循環器疾患における末期医療に関する提言」から引用。

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↓ 急性・慢性心不全診療ガイドラインより抜粋

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予後予測スコアはあるが、長期予後しか予測できなさそう。

うつ病心不全には合併するのでSSRIなどの適応を考えよう。