備後家庭医のきまぐれ日記 ~ふりかえり備忘録~

備後地区家庭医のログ、ふりかえりを兼ねた日記です。きまぐれに更新しますのでのんびり見守ってくださるとうれしいです。

起立性低血圧

85歳女性

cc浮動感

1カ月前からふわっとする感じがある。朝の片づけをしているときに浮動感あり。

足に力が入らなくなるような、目の前が暗くなる感じ。

臥位になると落ち着く。

 

簡易tilt

臥位:162/90 75

1分後:122/80 86

2分後:102/68 82

5分後:91/52 83

 

便潜血陰性 貧血なし 脱水なし

 

 

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CQ:治療をどうするか ホスピタリストのための内科診療フローチャートより

まずは

★非薬物療法

・血管拡張作用のある薬剤・利尿薬を中止する

・患者教育を行い、失神が生じる状況を説明し、前駆症状が生じた際は速やかに臥位をとることを説明する。

・水分、塩分節酒を多めにする

・急速な体位変換を避ける

・弾性ストッキングを用いる

・夜間に就寝時に頭部を10度ほど挙上して眠る

・長時間の立位や温度の高い環境を避ける

・起立時足を交差して立つ

・起床前に500ml程度の水分を飲む

・運動習慣をつける

 

薬物療法

・血管収縮薬:ミトドリン(メトリジン®)、アメジニウム(リズミック®)、ジヒドロエルゴタミン(ジヒデルゴット®)

・ミネラルコルチコイド:体液量増加作用、末梢血管抵抗低下、心抑制性失神双方に効果あり フルドロコルチゾン(フロリネフ®)

・β遮断薬:末梢血管抵抗低下、心抑制失神双方で使用。ただし後者では少量から開始する。保険適応外。プロプラノロール(インデラル®)、メトプロロール(セロケン®)