備後家庭医のきまぐれ日記 ~ふりかえり備忘録~

備後地区家庭医のログ、ふりかえりを兼ねた日記です。きまぐれに更新しますのでのんびり見守ってくださるとうれしいです。

足底腱膜炎

50代 男性 朝起きたときに足の裏が痛い

 

足底腱膜炎

●解剖

足底腱膜は足底部の固有筋膜を覆う膜であり、踵骨底部の主に内側結節より起こり、中足骨頭結節付近で分岐し、第1~5趾の基節骨底面に停止している。非常に強靭な縦走線維からなり、足の縦方向のアーチ形成に重要な役割を果たしている。足底腱膜の他にも、長足底靭帯、短足底靭帯、ばね靭帯がアーチの支持に貢献している靭帯とされている。

●症状

初期の症状では朝起きたてや椅子からの起立時など動作の開始時に疼痛を感じる人が多い。動かない間に筋膜が硬直してしまいそこに負荷が加わり、強い痛みを生じるため。

立ち仕事やスポーツの後、長時間歩行後にも炎症の増悪により炎症を生じやすい。

 

●検査

X線検査→距骨底部の骨棘を形成

超音波検査→足底腱膜の踵骨付着部付近の浮腫及び肥厚が観察される 通常距骨付着部付近の足底腱膜の厚さは約2mm程度

 

●鑑別診断

内側踵骨神経の絞扼などを原因とする神経炎(歩き始めが特に痛むという症状は訴えないことが多い)

後脛骨神経の絞扼による神経炎(足根管症候群は前足部の足底や趾の疼痛やしびれを生じる)

 

●治療

急性期:運動を控えて局所の安静を指示する。

特に仕事や歩行などで負担が増してしまったとき:炎症を抑えるためアイシングも行うよう指示。

★ストレッチ

ストレッチにより足底腱膜の緊張を和らげ柔軟性を確保する。起立し両下肢を前後に広げアキレス腱を伸ばすストレッチを行う。非荷重で足先を持ち他動的に足関節を背屈させるストレッチも有効。

 

★テーピング、インソール

インソールは足形を計測しオーダーメイドで必ず両足作成する。アーチ構造を支え足底腱膜にかかる負担を最小限にすることが目的であるが、踵部足底の圧痛が強い症例では疼痛部をくりぬくなどの工夫を加えたものを作成する。

 

★注射

歩行に支障を感じるような強い疼痛症状がある場合は副腎皮質ステロイド(ケナコルト®)の局所注射や体外衝撃波治療を行う。

ケナコルト→エコーで足底腱膜の肥厚の強い部位をターゲットとして行う。

数日後より疼痛緩和を自覚できるケースが多く、2ヶ月ほどの薬の効果が期待できる。

数カ月以上は注射感覚を空け多用は避ける。

 

基本はストレッチやインソールなどでの治療。

注射だけでよくなっても再発する。