備後家庭医のきまぐれ日記 ~ふりかえり備忘録~

備後地区家庭医のログ、ふりかえりを兼ねた日記です。きまぐれに更新しますのでのんびり見守ってくださるとうれしいです。

不随意運動

PNSの入院患者さんで手指が1Hz 程度の振戦のような不随意運動を生じた。

CQ:不随意運動をみたときに何を鑑別に挙げ、どうマネジメントすべきか。

 

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Hospitalist 神経内科 参考

★不随意運動の種類

①振戦

振戦の特徴を知ることが必須

・静止時振戦

・動作時振戦

姿勢時振戦、運動時振戦、動作時特異振戦、等尺性振戦

 

本態性振戦の特徴→罹病期間が長く、症状は緩徐に進行し、家族歴やアルコール摂取によって症状が軽減する。(甲状腺機能亢進症のr/oは必要)

 

Parkinson病の特徴→振戦以外のパーキンソニズムを評価することが重要

 

ジストニア(持続的な筋緊張によるしばしば捻転性または反復性の運動や異常な姿勢をきたす病態)

個人ではパターン化された動きを生じる

感覚トリック、null pointが特徴。

二次性ジストニア→脳性まひ、感染性、薬剤性、中毒性、脳血管性、腫瘍性、外傷性

 

③ミオクローヌス

一次性:吃逆、hypnagogic jerk

二次性:神経変性疾患(AD、脊髄小脳変性症)、代謝性疾患(肝不全、腎不全、透析症候群、熱中症、低Na血症)、薬剤性、感染性(CJD)、自己免疫性、傍腫瘍症候群、脳症(低酸素脳症)、蓄積病、全身疾患(ミトコンドリア病

 

④舞踏運動

持続時間が長く、突然不規則に生じる。動きの速い、強弱一定しない非律動的な不随意運動で、左右非対称的である。

一次性:Huntington病、Wilson病、有棘赤血球舞踏病

二次性:脳血管障害、感染性(HIV)、免疫介在性(PNS含む)、代謝内分泌性(非ケトン性高血糖ビタミンB1、B12欠乏)、薬剤性

SLEやシェーグレン、ベーチェット病などでも生じる

 

補足

PNSの患者に尾状核に異常を生じて舞踏病様の症状を呈することがあるという症例報告もある。

 

 

★薬剤性不随意運動の原因となりうる使用頻度の高い薬物

抗精神病薬(定型、非定型)

三環系抗うつ薬

SSRI

スルピリド

メトクロプラミド

チアプリド

プロクロルペラジン

バルプロ酸

フェニトイン

ラモトリギン

ヒスタミン

リチウム

 

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そもそも不随意運動の種類としては振戦、もしくはミオクローヌスと考える。

PNSそのものによるものの可能性が高そう。

構音障害

★症例

70代男性 別の疾患で入院中に構音障害が出現した。不随意運動もある。

解釈モデル:口が最近よく渇くのでその影響かと思っている。

 

CQ:構音障害が生じたときに鑑別は?

 

★基礎知識の確認 なんでも無い科医の勉強ノートより

脳梗塞による構音障害は8-30%

構音障害単独の脳梗塞は全体の1.5%程度

Isolated Dysarthriaを来した例はいずれもラクナ梗塞で, そのほとんどがテント上
(15例中13例. のこり2例が小脳+橋)
 
 
★構音障害のいろいろ

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★結論?

急性発症した構音障害の鑑別はTIA脳梗塞などの脳血管障害を考える。

構音障害単独はほとんどがラクナ梗塞、テント上が多い。

 

あんまりすっきりしなかったですね…

 

読書記録⑥ 「予想どおりに不合理」その1

例が素晴らしい。

そして、誰かが言っていた私たちの生活は選択の連続であるということを改めて想起し、しかもそれは自分で決めているようで相対性に支配されているのではないかと思うような内容だった。

髪型も、こないだ買った絨毯も、昨日の晩ご飯のお惣菜も、朝職場まで運転する道順も、きっと何かと何かを比べて、そこにたどり着いたのだろう。

付き合う相手でさえ選ばされているのかもしれない…

 

ソクラテス?か誰か偉い人が言っていた、「無知の知」のように、私たちの決断が不合理であるということを知っていることに意味があるのだと思うほうが幸せ。

全てに歯向かうのは、到底無理だし疲れるし、自由意志で決めたいと思っても最終的にできないのであればがんばるのはあまり得策ではないように思われる。

 

背景に行動経済学があることをしることで、ちょっとだけ仕組みや仕掛けがわかって、チャンスがあればその仕掛けを自分で作ってみたりして。

そうやってうまく道具として使いこなせればかっこいいな。

 

なるほど、と思った言葉を以下に書き留めておく。

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1章 相対性の真相

・大半の人は、自分の求めているものが何かわからずにいて、状況とからめてみたときにはじめてそれが何なのかを知る。

・他のものと相対的な優劣に着目して、それから価値を判断する。

・選択肢が三つあると、たいていの人が真ん中を選ぶ。

・わたしたちはものごとを何でも比べたがるが、それだけでなく比べたいものだけを一生懸命比べて、比べにくいものは無視する傾向がある。

HANDS-FDF2020 第1回 振り返りもろもろ

以下に学んだことの一部をまとめておく。(本日学んだことが中心。事前学習内容はほぼ省く)

とにかく、現場に帰って実践できるか、活かせるかを大切に。

そうでなければ意味がない。

★総論

医学教育とFDは若干異なる。FDは指導方法だけではなく+αがあり。

現場に落とし込むことができる、を目標にしているので、組織管理、交渉スキルなどがないと実践がうまくできないため、そこもコースに含まれている。

キャリアをどう伸ばしていくか、も。

教育は実践できそうかどうか、どんな問題が出そうか、というのをあらかじめ検討しておく。先に反対派を懐柔しておく。

指導医として成長していくためにはサポートするレパートリーを増やしていくことが大切。

医学教育はどんな立場で話すか、の立場論になる。(どれが絶対的に正しい、というのはない)

 

★フィードバック

フィードバックは学習者のもの。「ギフト」という意識をもとう。

①自己評価

②人間カメラ Iメッセージ

③サンドイッチ法

④将来に向けて 未来志向

 

★青年の主張

与えられた時間が短ければ短いほど、準備に時間をかける。

オンラインではより大げさに反応したほうがよい。

 

★カリキュラム

学習者はコントロールできない。

カリキュラムはやっていきながら学ぶべし。単回のレクチャーやワークだけでは解決不可能。

 

ファシリテーション

共有⇒発散⇒収束⇒決定

そのなかで発散のあとの構造化が大切。なかなかできない。

私見:二面性を意識したファシリテーションができるといいかも。タスク志向、ヒト志向のバランス。

 

★5micro skills

あくまで外来などの時間内に行う。

時間がかかりそうな場合、総論などは省き、宿題を出したり工夫してみよう。

患者を不必要に待たせない、遅らせない。

 

 

★チームビルディング

タックマンモデル(形成期、混乱期、統一期、機能期)

目標設定:意義目標、成果目標、行動目標

入口と出口

 

オンライン時代のチームビルディングは必要とされることが少しずつ変わってきている。

例えば、オンラインミーティングは人数が多すぎると対話が難しくなる。

しゃべる人としゃべりにくい人がどうしても出てしまう。

(今日感じた感覚としては5人くらいまでが限度なような気がする。)

 

★毎日のふりかえり(googleフォーム)

自分で言語化して、何を学んだかがより自覚しやすかった。

 

★心にのこったフレーズ

鎖は一番弱いところで切れる。(その弱い鎖をとっても、相対的にどこかが一番弱くなる)切り捨てないことの大切さ。

反面教師はHidden カリキュラム

実践できる場がないのであれば、そもそもその教育やコースを受ける意味がない。

 

 

★明日から実践したいこと

・フィードバックのときに「間違ってもいいからね」と、発言を促す。安全な場の提供を明確にする。

・カリキュラム作成(そのためにチーム発足)

 

★感想

フィードバックのワークは二重構造で、意外と実践では意識していないとできないという気づきを得るためにはとてもよいものだった。

T&Aでファシリテーションをしていた時の経験が役に立っているのだと気づけた。(まず自己評価を尋ねる)

チームビルディングのワークが面白かった。もしかしてこれも二層構造なのでは、と裏を読んでしまいそうになったけど。ファシリテーションの知識を生かしたワークだった。

5micro skillsのワークでは、当院で行っている年齢、主訴で行うフィードバック?臨床推論のティーチングに名前があるのか知りたいと思った。ないならつけてみたい(笑)

事前課題から知識の猛烈なシャワーを浴び、処理しきれず(意図されたストレッチゾーンですね)、本番では緊張もあるがいろんな先生から普段受けない激しい刺激を受けた。知的好奇心や、やってみたい欲が刺激される間隔は快感。

咀嚼して、実践に移すまでで一つ。必ず、行動に移す!

言語化をしたのが思いのほか久しぶりだったので、つたない日本語になってしまった。

タスク志向、ヒト志向というのはわかりやすく、納得した。

これからチームビルディングを行うときに誰がどっちのタイプかということも意識してみるといいかも。(オンラインだと、直接自己評価を聞いてみるか)

ファシリテートのワークはテーマが秀逸。まねできない(笑)

私の課題は発散は得意だが、構造化や収束が苦手かも。特に力を入れて勉強したい。

一つ一つ学んだことをその場で使いながらできるようになっていて、おもしろかった。

頭をすごく使った。

cinemeducationは面白いが、どうやって使っていいかまだ分からない。実際にやってみながら改善していきたい。

事前課題は大変だったけど、共通言語でdisccussionするためにはどうしても必要というのを感じた。スキムリーディングでも読んでおいてよかった。

 

何はともあれ、HANDSにおける自分自身のtransfer

+学習者がtransferできる教育を! というのが肝だとわかった二日間。

 

読書記録⑤ 働く大人のための「学び」の教科書

どの言葉もド直球にぐさっと突き刺さる。

すっと入ってくる文章だから、わかりやすく何度も読もうと思うような内容。

「学び」を楽しみながら続けていきたいなあ。

バイブルとも呼ぶべき本ですね。

 

心に残ったものを少しまとめておく。

 

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大人は何もしなければ、次世代のこどもより劣る存在になってしまう。「大人は大人でいられなくなる」

 

「振り返り」は経験を学びに変える

振り返りとは、「過去の自分の行動を見つめなおし、意味づけたうえで、未来に何をしなければならないのかを、自分の言葉で語れるようになること」

 

 

大人の学びを加速する7つの行動

①タフアサインメント=タフな仕事から学ぶ

②本を1トン読む

③人から教えられて学ぶ

④越境する

⑤フィードバックをとりに行く

⑥場を作る

⑦教えてみる

 

大人の学びは

聞く(インプット)

聞く(インプット)

聞く(インプット)

帰る

であってはならない

 

聞く(インプット)

考える(スループット

対話する(アウトプット)

気づく・変わる

でなくてはならない。

 

 

 

腹をくくって楽しみながら学ぼう!と思いました。

読書記録④ 医学教育を学び始める人のために その2

★カリキュラム

・計画されたカリキュラム

・実施されたカリキュラム

・学ばれたカリキュラム(潜在的カリキュラムを含む)

 

★教育方略におけるSPICESモデル

student-centred(学習者中心)⇔  teacher-centred(教育者中心)

problem-based (PBL型)⇔ information-oriented(情報志向型)

integrated or inter-professional (統合・多職種型)⇔ discipline-based(学問分野基盤型)

community-based (地域基盤型)⇔ hospital-based(病院基盤型)

elective-driven (選択型)⇔ uniform(必修型)

systematic (系統的)⇔ opportunistic(場当たり的)

 

★学習内容の順序づけ

 

★らせん型カリキュラム

・項目の再考

・次第に上昇していく難易度

・以前の学習に関連した新しい学び

・学生のコンピテンスの向上

 

★学生中心アプローチを取り入れる

スタディガイドの使用

・適応学習

 

★統合アプローチ

統合的アプローチは学問分野基盤型アプローチよりも、患者とその健康問題に関して学生に全体的視点を持たせやすい

 

統合での焦点

・身体系統

・ライフサイクル

・臨床症状あるいは医師のタスクの記述セット

 

★多職種連携教育(IPE)

7つの原則

①ケアの質を改善するために行う

②サービス利用者とケア提供者のニーズに焦点を当てる

③サービス利用者とケア提供者の両者が関わる

④各専門職が互いに就いて互いから互いとともに学ぶことを促進する

⑤各専門職の高潔さと貢献に敬意を払う

⑥各専門職内での実践も向上させる

⑦専門職の満足度を上げる

 

★業務に基づく学習(Work-based learning)

学びは日々の診療に内在している

「サポートされた参加」

・学習経験を求め、実際に関わることに責任を持つ

・職場環境で引き受けた業務の文脈に能動的に関わる

・メンターや指導医、教員や仲間と学んだ経験について振り返る

・同僚やヘルスケアチームの多職種メンバーとかかわりあう

・メンターや指導医、教員や仲間から継続的フィードバックをもらう

 

★コアカリキュラムに選択カリキュラムを組み合わせる

コアカリキュラムに取り入れられるもの

・臨床実践において頻度が高い

・臨床実践において重症度、緊急度の高い状況の典型例である

・他の内容を学ぶ際に重要な前提となり、重要な原則を説明する

 

★カリキュラムをマッピングする

・求められる学習アウトカム

・扱われる内容、テーマ、トピックス

・利用可能な学習経験や学習リソース

・評価

・コースや単位

・時間割

読書記録③  医学教育を学び始める人のために その1

●教員の役割

・情報提供者

ロールモデル

ファシリテーターあるいはメンター

・評価者

・計画者

・教材開発者

 

●学生にFAIRになろう

Feedback(フィードバック)

Activity(能動性)

Indevisualization(個別化)

Relevance(関連性)

 

 

教育には情熱が必要である!!

 

●アウトカム基盤型アプローチの必要性

 

アウトカム基盤型教育(outcome-based education:OBE)

・教育の終了時および各段階終了時に期待される学習アウトカムを明確に述べ、教員、学生、医療サービスの雇用者などのステークホルダーを含むあらゆる関係者とコミュニケーションを図ること

・学習内容、教育方略、教育方法、評価を含むカリキュラムに関する決定は、合意を得た学習アウトカムに基づくこと。学習アウトカムにより、何を、どのように教育し、どのように評価するかが決定される

・学生が将来現場にコミットできることを総合的に確実に予見するために、プログラム終了時にアウトカムが達成されたことを示さなければならない

 

OBEは「結果志向の考えかた」

 

 

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当たり前かもしれないが、教育にもエビデンスがあって、今の常識(というか今自分がやっていることや周りがやっていること)を疑う、つまりもっといい方法があるかもしれないと考え続けることが大切なんだなあ。

 

面白いが、正直なところずーっと同じモチベーションでできるかは自信がない。ただ、大なり小なり時期に応じて成長していけたらと思う。